2010年02月19日

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

2月も半ばを過ぎ、梅や桃など花の便りも聞こえてきました。
レポーターのぎんねこです。

そこで今回は、ひと足早く春の節句を楽しむ西教寺の雛人形展
訪ねてみました。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

「西教寺 雛人形展」
 期間:2010年2月15日(月)~3月3日(水) 9:00~1630
 料金:大人400円、中学生300円、小学生200円

 期間中、雛まつりにちなんだ「雛御膳」もあり(要予約・1人2000円・拝観料込)



南草津から車でおよそ30~40分。
西教寺といえば、比叡山麓・坂本にある天台真盛宗の総本山です。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

坂本城主だった明智光秀一族の墓があることでも知られています。



通りに面した総門をくぐると、参道の両脇にいくつもの子院が並び
境内は山すそ一体に広がっています。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

正面に見えるのは天皇の使者を迎えた「勅使門」。


ここは飛鳥時代、聖徳太子が恩師である高麗の僧慧慈、慧聡のために
創建したと伝わる古寺。

久しく荒廃していたところ、比叡山中興の祖・慈恵良源上人が念仏の道場とし
室町時代、真盛上人の入山によって天台念仏と戒律の道場として栄えるようになりました。


戦国に入り、織田信長による焼き討ちに遭いますが
坂本城主となった明智光秀が復興に力をそそいだことなどから
桃山様式の客殿(重要文化財)がいまも残されています。


豪壮な本堂は江戸時代のもので重要文化財。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

その奥へと進むと、本坊、書院、客殿などが続いています。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

雛人形展の受付は本坊。会場は表書院。


なかへ入ると一面に緋毛氈が敷かれ、華やか。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

今年で10回目を迎えるこの展示。
きっかけとなったのは阪神大震災で、焼けずに残った雛人形を供養して欲しいと
被災者から依頼があったことに始まるのだそう。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

以降、毎年3月3日に人形供養が行われていますが
なかには歴史的・芸術的に価値の高いものも寄せられるようになり、
それらを寺で保管して期間限定で公開するようになったのが人形展の始まりとか。

いまでは毎年1000体以上の人形が全国から寄せられるそうです。


会場に並ぶのは江戸後期から明治、大正、昭和のものまで。


こちらは江戸後期の雛人形。
おっとりと上品なお顔立ちですよね。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

つやつやとしたお顔の光沢はいまも失われていません。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

これは当時の職人たちが貝殻の粉末を使って何度も何度も磨きあげたからだそう。


圧巻は、御所の紫宸殿を模した雛飾り。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

子供のためのものとはいえ、子供だましでないのがすごいところ。
雛人形は子どもを守る宝物。親御さんからどんなオーダーがあったのでしょうか。
細かな仕上がりに職人の誇りを感じます。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

しばしこの前に座り、ため息とともに見入る人も多いようでした。


こちらは源氏物語の絵巻風に仕上げたもの。
御簾の奥の内裏雛を見ていると、あれこれと物語が思い浮かんでくるようです。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」



お人形はもちろん、お道具類にも職人のこだわりが垣間見えます。

文机の上には塗りのすずり箱。筆立てにはお雛様の小さな手でも持てそうな
細い細い筆が立てられていました。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

長持ちのなかには、なんとひと揃えのお布団と2つの枕が入っていました。
いや、芸が細かい!

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

お雛様の衣裳にも指の先ほどの大きさの鶴の刺繍。
従者の足元を見ると、藁で編んだわらじを履いているものまで。



そして私が強くひかれたのは、この雛遊び道具。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

水道が備え付けられているところを見ると大正以降のものでしょうか。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

小さいながらも、おたまからしゃもじ、桶、おろしがねまで
全部そろっているんです!

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

昔の女の子たちは、これで家事の練習をしたのでしょうね。



雛人形展の会場を出たら、この機会にぜひ見てほしいのが客殿。
文化財のため写真撮影はできませんが
客殿は桃山時代のもの。もとは豊臣秀吉の伏見城にあった旧殿で
襖や壁、腰障子などに描かれているのは狩野永徳をはじめとする狩野派の筆によるもの。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

そして客殿の庭園は小堀遠州作。



受付の本坊に戻ると、売店もあり、お数珠やお経、書籍のほか
西教寺ならではのお土産もあります。

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真盛上人にちなんだ「真盛豆」や、この寺にゆかりの深いお猿のおせんべいも。


本堂の前には、戦国武将たちの墓があり、明智一族の供養塔も建てられています。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」


また、境内をめぐる際、ぜひ注意して見つけてほしいのが
屋根や鐘楼の上にいる「猿」たち。

比叡の山のふところで春を感じる西教寺「雛人形展」

ここには真盛上人の身代わりとなった「御猿」の伝説が残っており
大切にされているんです。

もちろん、比叡山のふもとのこと、本物の猿たちも頻繁に出没するようで…。

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豊かな自然もまた、このお寺のみどころのひとつです。


湖国にあって、その長い歴史を伝える西教寺。
この機会にぜひ出かけてみてください。



より大きな地図で ミナクサブログ2010╱02╱19 を表示




天台真盛宗総本山 西教寺

滋賀県大津市坂本5-13-1
TEL 077-578-0013 
拝観時間 9時~16時30分         
HP http://www.saikyoji.org/

※雛人形展は3月3日(水)まで

坂本観光協会 TEL 077-578-6565
HP http://turuya.jp/sakamoto/tikurinin.htm


※情報は2010年2月現在。詳しくは直接お問い合わせください。



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