2010年03月31日
宿場まちの歴史を体感。国指定史跡「草津宿本陣」
いよいよ桜も見ごろですね。ミナクサブログ・レポーターのぎんねこです。
草津の春といえば、まもなく「草津宿場まつり」の時季がやってきます。
今年の開催は4月25日(土)・26日(日)。
そこで今回は、草津の「宿場まち」としての歴史を振り返ってみましょう。

往時のまちの面影を今に伝えるのは、国指定の史跡「草津宿本陣」。
本陣とは、簡単に言えば江戸時代の宿泊施設のこと。
大名や公家、幕府の役人が利用したもので、全国にいくつもつくられ
各地の豪商や豪農がその役割を担っていました。
とくに草津は東海道と中山道が分岐・合流する交通の要衝で、参勤交代の経路。
今回取材した史跡は材木商・田中七左衛門の邸宅で「木屋本陣」と呼ばれていたところ。
建物はもちろん、これだけの規模を残しているのは全国でも珍しいのだとか。
ほかにも草津宿にはもう一つの本陣と脇本陣が2軒、旅籠屋は70軒あまりもあったんだそう。
■入館料
大人200円/高校生・大学生150円/小学生・中学生100円
草津宿街道交流館との共通券
大人320円/高校生・大学生240円/小学生・中学生160円
海外からの観光客も訪れているなか、
早速、同館の別所さんにご案内いただきました。
門をくぐると、白砂が広がります。

玄関広間には式台が設けられていて、殿様の乗った籠が付けられるようになっています。
裃を着けた本陣の主人がここで大名を出迎えたそうです。
建物のほか貴重な資料が見学できる本陣ですが
ここでいま人気なのが「大名衣装・姫様衣装たいけん」。


(写真提供:草津宿本陣)
着付けの所要時間は約15分と簡単で、気軽に殿様・姫様気分が味わえます。
体験費用は無料(入館料は別途必要です)。
実施時間は朝10時半から午後3時半まで。ぜひ記念撮影を楽しんでみてください!
さて、玄関広間へ上がってみると、そこにずらりと並んでいるのは「関札」。

※館内は撮影禁止です。特別な許可をいただいて撮影しています。

大名や公家、門跡、旗本、幕府役人
などが本陣に宿泊するとき、本陣の
前や出入り口などに立てられた標識
で、ここには木製の札が約460枚、
紙製の札が約2900枚残っています。
どんな人々が泊まったのかを知る
貴重な記録です。
玄関から奥へ進むと、その向こうに続くのが畳廊下。


大人数の行列の際には、間仕切ってお伴の人々の宿泊部屋にもなったのだとか。
広間の一画に展示されていたのが「大福帳」。いわゆる宿帳です。
草津宿本陣には元禄5年(1692年)から明治7年(1874年)まで、
およそ2世紀分が残っています。


そこに書かれている名前を見てびっく
り!
『忠臣蔵』でおなじみ、浅野内匠頭や
吉良上野介、新撰組の土方歳三や斎藤
一、藤堂平助の名が。
皇女・和宮も、江戸へ降嫁した際、こ
こで休息したという記録が残っている
そうです。
小説やドラマでおなじみの人々が泊っ
たのかと思うと、なんだかわくわくし
てきますよね。
畳廊下が一段高くなっている、御簾の奥。
ここからは殿様など上層部の人々が泊まった部屋になります。
いちばん奥が「上段の間」。もっとも格式の高い部屋です。

ここや、向かいの「向上段の間」には、江戸後期の四条派の画家
松村景文の襖絵が残されています。本当にぜいたくな空間ですね。

上段の間は、その名の通り、廊下
から一段上がっているうえに、な
かの畳二畳分がさらに高くなって
いて、殿様はそこでお休みになっ
たそう。
床下から刀を刺しても届かないた
めの工夫だそうで、そんな環境で
ゆっくり眠れたのかしら?と、ち
ょっとお気の毒な気が…。
上段の間に隣接して「上段雪隠」、つまり偉い人だけの特別トイレがあり
お軸を掛け、香を焚くようしつらえられ、金隠しはなんと漆塗り!

草津の本陣は膳所藩の管轄だったので、あちらこちらに
膳所・本多家の立葵紋をあしらった飾りがありました。
北側にある庭園は広さ36坪。岩を滝に見立て、ゴロタ石で清流を作った枯山水です。

明治天皇草津行在所の石碑も見えました。
庭園の右手にある渡り廊下。

その向こうに何があるかと思えば、殿様用の「湯殿」。


道具類も再現されています。
どこか広々として寒そうなんです
が、これも入浴中の殿様に外から
槍などが届かないためとか。
しかも、高貴なお方のお風呂は直
火でなく、ほかで沸かした湯を湯
船まで運んで注いだのだとか。
手間も大変ですが、殿様も体の芯
まで温まれたのかどうか…疑問。

こちらがお湯を沸かした「湯沸屋形」。
奥にはずらっと蔵が並んでいます。
そして圧巻なのが、通り土間。

大名行列の大人数をまかなうため、かまどがいくつも並んでいます。



幅一間半もあり、台所土間には
五連式のかまどや芝入れ、物入
れ、井戸などが整っています。
表の大戸を開ければ、街道から
奥庭まで通り抜けられ、ここを
馬や籠が通ったんだそう。

表にいちばん近い場所には大きな板間があり、荷物はここへ運び入れました。
現在ではここに往時の品々が展示されています。
通り土間をはさんだ向かいは、家主である田中家の住居スペース。

実は昭和40年代までこちらにお住まいだったそうで、貴重な建物を損なうことなく
大切に守ってこられたのはご苦労も多かったことでしょう。
いま、こうして私たちが江戸の香りに触れられるのも
この家を受け継いでこられた方々のおかげ。本当に頭が下がります。
また、一般公開にあたっては10年以上の歳月をかけて
少しずつ修復が進められてきました。
柱を継いだあとなどには職人の技術も見受けられ
そういった箇所を見つけるのも、また楽しみの一つ。
まちの歴史に触れ、江戸の旅人たちの息遣いを感じに
ぜひ出かけてみてください。
より大きな地図で 草津宿本陣 を表示
国指定史跡 草津宿本陣
草津市草津1丁目2-8
077―561-6636
開館 9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館 月曜(祝日の場合は開館、翌日休館)
HP http://www.city.kusatsu.shiga.jp/midokoro/m_01.html
※情報は2010年3月現在。詳しくは直接お問い合わせください。
草津の春といえば、まもなく「草津宿場まつり」の時季がやってきます。
今年の開催は4月25日(土)・26日(日)。
そこで今回は、草津の「宿場まち」としての歴史を振り返ってみましょう。

往時のまちの面影を今に伝えるのは、国指定の史跡「草津宿本陣」。
本陣とは、簡単に言えば江戸時代の宿泊施設のこと。
大名や公家、幕府の役人が利用したもので、全国にいくつもつくられ
各地の豪商や豪農がその役割を担っていました。
とくに草津は東海道と中山道が分岐・合流する交通の要衝で、参勤交代の経路。
今回取材した史跡は材木商・田中七左衛門の邸宅で「木屋本陣」と呼ばれていたところ。
建物はもちろん、これだけの規模を残しているのは全国でも珍しいのだとか。
ほかにも草津宿にはもう一つの本陣と脇本陣が2軒、旅籠屋は70軒あまりもあったんだそう。
■入館料
大人200円/高校生・大学生150円/小学生・中学生100円
草津宿街道交流館との共通券
大人320円/高校生・大学生240円/小学生・中学生160円
海外からの観光客も訪れているなか、
早速、同館の別所さんにご案内いただきました。
門をくぐると、白砂が広がります。

玄関広間には式台が設けられていて、殿様の乗った籠が付けられるようになっています。
裃を着けた本陣の主人がここで大名を出迎えたそうです。
建物のほか貴重な資料が見学できる本陣ですが
ここでいま人気なのが「大名衣装・姫様衣装たいけん」。


(写真提供:草津宿本陣)
着付けの所要時間は約15分と簡単で、気軽に殿様・姫様気分が味わえます。
体験費用は無料(入館料は別途必要です)。
実施時間は朝10時半から午後3時半まで。ぜひ記念撮影を楽しんでみてください!
さて、玄関広間へ上がってみると、そこにずらりと並んでいるのは「関札」。

※館内は撮影禁止です。特別な許可をいただいて撮影しています。

大名や公家、門跡、旗本、幕府役人
などが本陣に宿泊するとき、本陣の
前や出入り口などに立てられた標識
で、ここには木製の札が約460枚、
紙製の札が約2900枚残っています。
どんな人々が泊まったのかを知る
貴重な記録です。
玄関から奥へ進むと、その向こうに続くのが畳廊下。


大人数の行列の際には、間仕切ってお伴の人々の宿泊部屋にもなったのだとか。
広間の一画に展示されていたのが「大福帳」。いわゆる宿帳です。
草津宿本陣には元禄5年(1692年)から明治7年(1874年)まで、
およそ2世紀分が残っています。


そこに書かれている名前を見てびっく
り!
『忠臣蔵』でおなじみ、浅野内匠頭や
吉良上野介、新撰組の土方歳三や斎藤
一、藤堂平助の名が。
皇女・和宮も、江戸へ降嫁した際、こ
こで休息したという記録が残っている
そうです。
小説やドラマでおなじみの人々が泊っ
たのかと思うと、なんだかわくわくし
てきますよね。
畳廊下が一段高くなっている、御簾の奥。
ここからは殿様など上層部の人々が泊まった部屋になります。
いちばん奥が「上段の間」。もっとも格式の高い部屋です。

ここや、向かいの「向上段の間」には、江戸後期の四条派の画家
松村景文の襖絵が残されています。本当にぜいたくな空間ですね。

上段の間は、その名の通り、廊下
から一段上がっているうえに、な
かの畳二畳分がさらに高くなって
いて、殿様はそこでお休みになっ
たそう。
床下から刀を刺しても届かないた
めの工夫だそうで、そんな環境で
ゆっくり眠れたのかしら?と、ち
ょっとお気の毒な気が…。
上段の間に隣接して「上段雪隠」、つまり偉い人だけの特別トイレがあり
お軸を掛け、香を焚くようしつらえられ、金隠しはなんと漆塗り!

草津の本陣は膳所藩の管轄だったので、あちらこちらに
膳所・本多家の立葵紋をあしらった飾りがありました。
北側にある庭園は広さ36坪。岩を滝に見立て、ゴロタ石で清流を作った枯山水です。

明治天皇草津行在所の石碑も見えました。
庭園の右手にある渡り廊下。

その向こうに何があるかと思えば、殿様用の「湯殿」。


道具類も再現されています。
どこか広々として寒そうなんです
が、これも入浴中の殿様に外から
槍などが届かないためとか。
しかも、高貴なお方のお風呂は直
火でなく、ほかで沸かした湯を湯
船まで運んで注いだのだとか。
手間も大変ですが、殿様も体の芯
まで温まれたのかどうか…疑問。

こちらがお湯を沸かした「湯沸屋形」。
奥にはずらっと蔵が並んでいます。
そして圧巻なのが、通り土間。

大名行列の大人数をまかなうため、かまどがいくつも並んでいます。



幅一間半もあり、台所土間には
五連式のかまどや芝入れ、物入
れ、井戸などが整っています。
表の大戸を開ければ、街道から
奥庭まで通り抜けられ、ここを
馬や籠が通ったんだそう。

表にいちばん近い場所には大きな板間があり、荷物はここへ運び入れました。
現在ではここに往時の品々が展示されています。
通り土間をはさんだ向かいは、家主である田中家の住居スペース。

実は昭和40年代までこちらにお住まいだったそうで、貴重な建物を損なうことなく
大切に守ってこられたのはご苦労も多かったことでしょう。
いま、こうして私たちが江戸の香りに触れられるのも
この家を受け継いでこられた方々のおかげ。本当に頭が下がります。
また、一般公開にあたっては10年以上の歳月をかけて
少しずつ修復が進められてきました。
柱を継いだあとなどには職人の技術も見受けられ
そういった箇所を見つけるのも、また楽しみの一つ。
まちの歴史に触れ、江戸の旅人たちの息遣いを感じに
ぜひ出かけてみてください。
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国指定史跡 草津宿本陣
草津市草津1丁目2-8
077―561-6636
開館 9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館 月曜(祝日の場合は開館、翌日休館)
HP http://www.city.kusatsu.shiga.jp/midokoro/m_01.html
※情報は2010年3月現在。詳しくは直接お問い合わせください。
タグ :名所旧跡
イオンモール草津で宝探し!「3D海賊アトラクション」
16万個のイルミネーションが煌めくエイスクエアのクリスマス
古代の秋に思いをはせて「弥生の森歴史公園」ライトアップ
一面が秋色に染まる「今浜のコスモス畑」
露天風呂から岩盤浴、食事まで。天然温泉「草津湯元 水春」
秋の味覚を採れたてで。直売所「もりやまフルーツランド」
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秋の味覚を採れたてで。直売所「もりやまフルーツランド」
Posted by
ぎんねこ
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